アーティスト・布施琳太郎とデザイナー・八木幣二郎による2人展「砂の本 THE BOOK OF ARENA」開催

アーティスト・布施琳太郎とデザイナー・八木幣二郎による2人展「砂の本 THE BOOK OF ARENA」が六本木の「POST-FAKE projects」で9月23日から開催される。

本展は日本橋馬喰町のギャラリー・CON_がキュレーションを担当。これまで2人は、布施が企画した展覧会の印刷物を、八木がデザインするかたちで、活動初期から共に表現を行ってきたが、共同制作を試みるのは初の機会となる。

本展のタイトルは、ホルヘ・ルイス・ボルヘスによる小説『砂の本』(1975年)より引用。そこには読んでは消え、何度めくっても2度と同じページにはたどり着くことのできない無限のページを持つ本が登場する。本展覧会は、詩や批評をはじめとした言葉を扱うアーティストである布施琳太郎と、さまざまな言葉をデザインして紙面に構成する八木幣二郎のコラボレーションとして構想された。2人は、言葉が機能する場としての「本」を、アーティストとデザイナーの立場から再考する。

2人は、今回の共同制作において、昨今注目を集める人工知能のための「大規模言語モデル(LLM – Large Language Model)」の学習過程でつくられる「意味空間」に着目した。意味空間とはコンピュータのための辞書のようなもの。まず無数のテクストがコンピュータに取り込まれ、そこにある無数の単語が自動的に超多次元の意味空間のなかへと位置付けられながら、単語同士の関係をベクトルとして保持することで大規模言語モデルはつくられていく。2人はそうした意味空間の多数の次元を削減して三次元空間へと写像(マッピング)することで、人間に知覚できる画像として出力することに興味を持った。そして「無数の単語が意味空間へとマッピングされる過程を逆走させたときに何が起きるのか」を考えるようになったという。2人は自作のCGモデルが持つさまざまな3次元情報を1つの意味空間として、8点の平面作品と2000ページの本を作った。2 人が造形しようとするのは、数多の企業や国家が試みる、すべての人々のための汎用人工知能の対極に位置する「砂の本」なのだ。

詩とグラフィックデザイン、それぞれの“言葉”でヒューマンスケールを超えた世界を構想する2人が、「砂の本」をつくるという共同作業を通じて、次なる世界の造形可能性を探求する。

■砂の本 THE BOOK OF ARENA 
アーティスト:布施琳太郎、八木幣二郎
会期:2023年9月23日〜10月22日
オープニングレセプション:9月23日18:00〜21:00
会場:POST-FAKE projects
住所:東京都港区六本木5-2-4 3F 
休日:月〜水、祝日

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TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

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