雑誌や広告、アパレルブランドとのコラボレーションなど、さまざまな領域で活躍する長場雄。アーティストとしても国内外のアートシーンから熱いまなざしが向けられる、今最も注目されている日本人クリエイターの1人だ。対象の特徴を的確に捉え抽出し描かれる、繊細な曲線美をたたえた彼のミニマルでいてキャッチーなアートワークを、街やメディアで目にして気になっていた方も多いのではないだろうか。
そんな長場が、12月11日から東京・渋谷のミヤシタパーク内のギャラリーSAIで個展「The Last Supper」を開催している。4メートルのオリジルキャンバスにアクリル絵の具で描かれる代表作『The Last Supper』をはじめ、同作家の世界観を多彩に表現するさまざまな形状のキャンバスを展示。また、平面作品のほか立体作品もお披露目されるなど、見逃せない貴重な機会となっている。
本展の開催に際して、長場は「1年前に“キャンバスを支持体として描く”という、言わばアーティストとしての初めての個展を開催し、次の展開を考えていたところに今回の個展のお話を頂いたんです。同じことをやってもしょうがないので、スケール面でも内容面でも、前回の個展を上回るものにしたいという思いがありました。僕の作品は、シルクスクリーンや印刷だと思われることもあるんですが、アクリル絵の具で手書きで描いています。ブレやにじみ、揺れという、アナログ的な部分を僕はとても大切にしていて。“きれいで真っすぐな線”よりも、“揺らぎのある線”が好きなんです。そういうところにも注目してもらえると嬉しいですね。立体作品はステンレスを素材にしていて、仕上げをどうするか迷っていたんですが、天井が鏡になっているところがあったりと映り込みで作品が見えることも多い会場だったので、その特性を取り入れた方が空間がまとまると思い、鏡面仕上げにしました。また、中世の絵画作品から現代アートに至るまで、鏡はアートにおいて重要なキーワード・モチーフです。それに自身の作品で取り組みたかったという思いもありましたね」とコメントを寄せてくれた。
展示会場では、本展覧会限定グッズをはじめ、先日開催された「artKYOTO 2020」でも発売された「アンダーカバー」のデザイナー・高橋盾とのコラボレーションアパレルも販売される。また、シルクプリント、マルチプル作品の抽選販売も予定しているという(※詳細はInstagramにて発表)。