【追記】新型コロナウイルスの影響により、東京都写真美術館は4月25日から5月11日まで臨時休館となり本展も開催中止となる。
髪型やメイク、装いを400回繰り返し変え、街中の証明写真機で撮影した《ID400》(1998年)が各所で話題となり、2000年には写真新世紀「特別賞」を、そして2004年には木村伊兵衛賞を受賞。以降も、セルフポートレイトを主たる方法としながら作品を発表し続けてきた写真家・澤田知子の、公立美術館における初の大規模個展が開催となる。
本展「澤田知子 狐の嫁いり」は、上述の《ID400》はもちろんのこと、“コギャル”に擬態した《cover / Face》(2002年)、アンディ・ウォーホル美術館のレジデンスプロジェクトで制作された《Sign》(2012年)、300人の“アジア人”に扮した《FACIAL SIGNATURE》(2015年)など同写真家の主要作品を網羅しつつ、初公開の最新作《Reflection》(2020年)も発表する充実の内容となっている。
自動証明写真機で撮影したオリジナルプリント/ゼラチン・シルバー・プリント(100枚組4点/4枚組1点)東京都写真美術館蔵 ⓒTomoko Sawada
ネットやSNSに演出的作為をほどこした「私」のイメージをアップし、それに対する他者からの評価を自己の内面に織り込んでいく——。そんな営為が広く行われる昨今において、一貫して「外見と内面の関係性」を問い続けてきた同作家の作品群を一堂にまなざす意義はとても大きいだろう。