パルコは、「ドローイングとは何か?」という根源的な問いをテーマとした、鈴木ヒラク・村山悟郎・やんツーの3人のアーティストによる展覧会「Drawings – Plurality」を渋谷パルコの「パルコミュージアムトーキョー」で開催する。会期は1月21日〜2月7日。
3人のドローイングはそれぞれ独自の観点を持っているが、互いに絡まり合う関係にある。宇宙の万物が現す線から路上の記号までを解体・再接続し、新たな言語としてのドローイングを探究する鈴木ヒラク、触覚的な線描を用いながら有機体の自己組織化を創発させる村山悟郎、そしてメディア・機械・装置が造りだす線描に人が何を見いだすのか軽妙に問うやんツー。この3者のドローイングには、必ずしも人間を中心に据えない線の広がりがある。
鈴木は、天体現象や自然物における時間積層、また都市の断片などに潜在する線を筆跡として採取し、光を反射する物質を用いて描く/書くことで、時空間における光の軌跡として提示。また、村山は、タンパク質の構造化や、魚やトカゲそして貝殻模様などの生物の体表に現れるチューリングパターンのように、生命が組織化することで生み出す線に傾注している。そして、この2者のドローイングの間を縫うようにして、やんツーの機械の線が問いを紡ぎ出す。機械や装置を用いることで物理的に発生する不確定性を取り出し、理性を伴わない要素を含んだ線を生成させるやんツー。
これらの物質・生命・機械が絶妙なバランスで相互に交わる領域に、人はどのような差異や芸術を見いだすのか。本展では、このPlurality(複数)のドローイングに相互参照しあう線を引きながら、それぞれの実践を紐解いていく。
1978年生まれ。アーティスト。ドローイングと言語の関係性を主題に、平面・彫刻・映像・インスタレーション・パフォーマンスなどの制作活動を行う。環境に潜在する線的事象の発掘行為を通して、現代の時空間におけるドローイングの拡張性を探求している
1983年、東京生まれ。アーティスト。博士(美術)。自己組織的なプロセスやパターンを、絵画やドローイングをとおして表現している。アーティストコレクティヴにおける社会制作の可能性を探る実践や、科学技術とコラボレーションしながらAIのパターン認識/生成の感性的理解を探るなど、表現領域を拡張している
1984年、神奈川県生まれ。美術家。セグウェイが作品鑑賞する空間や、機械学習システムを用いたドローイングマシンなど、今日的なテクノロジーを導入した既成の動的製品、あるいは既存の情報システムに介入し、転用/誤用する形で組み合わせ構築したインスタレーション作品を多く制作する。先端テクノロジーが持ちうる公共性を考察し、それらがどのような政治性を持ち、社会にどう作用するのか、または人間そのものとどのような関係にあるか作品をもって批評する