プレミアムな日本酒や焼酎と上品な肴 ベルリンで“和”を味わえるバー Vol.2 -NOMU Sake Bar-

ジャケットにポケットチーフの紳士やトークハットのマダム、美術品のようなクラシックカー、そんなエレガントな景観にも自然と溶け込んでいる「NOMU Sake Bar」。ハードルの高さはなく、一歩中に入るとそこには最高のおもてなしが出迎えてくれる。第1弾の「shizuku.」に続き、2021年の9月にオープンした「NOMU Sake Bar」を紹介したい。

グランドオープン前から早くも話題を集めていた「NOMU Sake Bar」。2021年9月上旬には、スタッフのユニフォームデザインも手掛けるベルリン拠点のブランド「SUSUMU AI」とのコラボレーション、筆者も参加した業界関係者を招いたプレスプレビュー、日本人ゲストに向けたディナーイベントが開催され、どれも盛況だった。その後も​​グランドオープン初日から多くのゲストで日々満席となっており、事前予約が必至とのこと。

ここでしか飲めないプレミアムな日本酒と出会える「NOMU Sake Bar」

メゾンブランドのショップが立ち並ぶクアヒュルステンダム(通称クーダム)から程近く、閑静な住宅街に位置する「NOMU Sake Bar」は、近隣の雰囲気にも見合うエレガントな和を感じさせる内装が特徴。オーク材を用いたハンドメイドの家具は、店内に温かさと心地よさをもたらし、天井一面に張られた無数の升は圧巻の存在感を放っている。

日本の有数の酒蔵から厳選された30種類の日本酒は、そのほとんどがドイツ国内ではここでしか飲めない特別なボトルが並び、さらには季節ごとにも入れ替わる。常にフレッシュな味を楽しむことができるのも「NOMU Sake Bar」の魅力の1つだ。それ以外にも希少なジャパニーズウイスキー、焼酎、日本のクラフトビール、泡盛などが取り揃えられている。

特筆すべきは、日本酒版マリアージュといわれるペアリングのクオリティーの高さだ。ドイツでとれる旬な食材と日本から取り寄せた食材の持ち味を生かしたフードメニューには、トリュフ塩の枝豆、とろたく、ブリの照り焼き、ひつまぶし、にごり酒のアフォガード(オープン当初のメニューであり、現在は変更されている可能性があり)等があり、フードメニューにおいても季節に合わせて変更されている。おまかせメニューと日本酒のペアリングメニューを合わせてオーダーすると、前菜からメインに至るまで、それぞれのメニューに合う日本酒を教えてもらいながら食事を堪能することができるのだ。また、アラカルトの注文時であっても、食事、お酒のそれぞれに合ったペアリングも対応可能とのことで、プレミアムな体験を味わうことができる。

「ベルリンへ移住してきて、すぐにパンデミックとなってしまいました。自分の未来が見えず不安になりながら、ここで何ができるだろう? って考えていたんです。そこで思い付いたのが、日本酒をメインとした「NOMU Sake Bar」でした。10年ほど前から日本に行く機会があり、日本酒はもちろん、日本の食文化や伝統文化が素晴らしくて恋に落ちました。私が生まれ育ったカリフォルニアでも多くの日本食レストランを訪れていたこともあり、ベルリンにもこんなお店があったらいいな。という思いからアイデアが浮かんだんです。西ベルリンのエリアで運命的にこの場所を見つけることができたので、やってみよう! と挑戦する勇気が湧きました。『NOMU Sake Bar』では、日本の伝統的な料理とおもてなしの心を何よりも大切にしています」。

そう語るオーナーのサラ・ステインは、日本人以上に日本の伝統文化や“おもてなし”の真髄を理解し、リスペクトを持っていると感じた。もともとアパレルのマーケティングとしてキャリアを積んできた彼女のセンスと先見性が存分に反映されており、丁寧な接客と優しい笑顔はますますファンをつかんでいくことだろう。

NOMU Sake Bar
住所:Ludwigkirchstraße 3
営業時間:18:00〜22:00
休日:月、火
https://www.nomusakebar.de/

Photography Yuto Yamada

author:

宮沢香奈

2012年からライターとして執筆活動を開始し、ヨーロッパの音楽フェスティバルやローカルカルチャーを取材するなど活動の幅を海外へと広げる。2014年に東京からベルリンへと活動拠点を移し、現在、Qetic,VOGUE,繊研新聞,WWD Beauty,ELEMINIST, mixmagといった多くのファッション誌やカルチャー誌にて執筆中。また、2019年よりPR業を完全復帰させ、国内外のファッションブランドや音楽レーベルなどを手掛けている。その他、J-WAVEの番組『SONAR MUSIC』にも不定期にて出演している。 Blog   Instagram:@kanamiyazawa

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