アーティスト・片山真理の個展「CAVERN」が 開催 「洞窟のよう」な4年間に手掛けた作品群が並ぶ

アーティスト・片山真理が個展「CAVERN」を6月6〜24日にGALLERY ETHERで開催する。片山が2019年に群馬にアトリエをもってからの4年間にわたり制作してきた作品「just one of those things(2021)」「leave-taking(2021)」「possession(2022)」をはじめ、新作「Calypso、study for caryatid(2023)」とドローイングを中心に構成する。

片山は、制作に費やした4年間を「洞窟のよう」と語る。身体と作品の関係性、そしてそれらを取り巻く社会について集中して取り組んできたからだ。洞窟は、外界との接触が絶たれた空間であり、叙事詩『オデュッセウス』でカリュプソとオデュッセウスの物語の舞台となる神秘的な空間でもある。今回の展示では、同作の物語を背景に、洞窟のような制作期間の中で、片山が作り出したオブジェとの秘密の関係を振り返る。

片山は、これまでに自ら手縫いしたオブジェや、義足等を用いたセルフポートレイトとインスタレーション作品を制作してきた。「セルジオ ロッシ(SERGIO ROSSI)」をパートナーに迎えた「ハイヒール・プロジェクト」の再開とともに制作した「just one of those things」は、社会規範や正しい身体に対して、選択肢を増やすこと、諦めていい自由はないことを私達に訴える。「leave-taking、possession」では、他者に貼られたラベルと、自分が自身に貼ってきたラベルを手放す・所有する行為そのものを問い直す。

「study for caryatid」では、片山は「leave-taking」や「possession」において交わされたオブジェ/自己の内側の関係を、より社会の中に位置づけようと試みている。作品のタイトルにもなっている古代ギリシャの神殿建築で円柱の代わりに梁を支える女性立像の「カリアティード」は、天と地の間で懸命に立っているようにも、天と地両方からの鎖でつながれているようにもみえる。「study for caryatid」では、手放すにしても所有するにしても見えない鎖と共生していかなければならないことから、鎖とともにありながらも自由であることの軽やかさを表現している。

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TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

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