「シナ スイエン」デザイナーの有本ゆみこによる複合的新作発表会「コアラの人」が2月1日から開催

刺繍作家・「シナ スイエン(SINA SUIEN)」のデザイナー、有本ゆみこの複合的新作発表会「コアラの人」が2月1日から13日まで、代々木上原によるレディースのヴィンテージショップ「3 to 8(サントゥエイト)Vintage Apartment Store」で開催される。

有本は、刺繍を創作活動の軸としながら、自身のブランド「シナ スイエン」ではオーダーメイドや1点ものの衣服づくりを通して、着る人の心身のあり方について考察し、より楽しく生活するための機会づくりを行なっている。

今回の新作発表会では、刺繍の最新作「めまる」、会場でもあるヴィンテージショップ「3 to 8 Vintage Apartment Store」から託されたイギリスの古着をリメイクしたコレクション「ガールガイド」、中国出身の写真家・宛超凡(えん ちょうはん)が「ガールガイド」を撮り下ろした写真作品シリーズ「成都の屋根」、小さな映像作品『1979/ 5/ 24』を発表する。

また、2月9日から11日の3日間(15:00-19:00)は5人限定でオーダーメイド服の受付も行なう。

「めまる」は、有本が2020年に発表した「よるのしじま」以来4年ぶりとなる大型の刺しゅう作品。見過ごしたまま記憶にもならなかった出来事や感情を注意深く探す作業の中で浮かび現れた、架空の生き物「めまる」は、有本自身の多面性を象徴する存在でもある。故郷である奈良の吉野杉の年輪を1枚ずつ剥ぎ取った面皮(めんかわ)を繋いで製作した木枠が「めまる」を支える(協力:花井商店・花井慶子)。

イギリスのヴィンテージ服を中心に集めるショップ「3 to 8 Vintage Apartment Store」から託されたのは、1930~70年代の古着8着。1着1着をくまなく観察して見えてきたのは、生地や装飾の長所、そして時空を超えて息づいてきた(遺された)物語だった。その中に7〜8歳の少女が着ていたと思われるガールガイド(日本ではガールスカウトと言うことが多い)の制服があった。「バッジ」と呼ばれるいろいろなワッペンが縫い付けられたタスキは、これを着ていた少女がガールガイドで教わった技能や知識をたくさん習得した証。服が伝える少女の誇りが今回のリメイクの芯となり、「ガールガイド」コレクションが生まれた。

写真作品シリーズ「成都の屋根」は、かねてより親交のある中国・河北省生まれの写真家・宛超凡が「ガールガイド」の服を撮り下ろしたもの。日本を出たことのない有本にとって、自分の代わりにと送り出した服達が、灰色の空と赤い三角屋根を背景にマンションの屋上で成都の風に吹かれる光景は、旅に求める喜びを味わうのに十分だったと言う。

『1979/ 5/ 24』は、ある日、有本が不意に母から手渡された両親の結婚式の映像を元にした映像作品。有本はそこに映るおぼろげな光景から自分と表裏一体のノスタルジーを感じ、母と自分の生きてきた時間が重なった感覚は不思議でありながらも確かなものでした。そして、そこで踊り、暴れ出す「めまる」の姿を思い浮かべる

「コアラの中のコアラ。トラに憧れ、ゾウの意志を持つ」とは、有本が動物占いで受けた診断。一見する表層は支離滅裂に感じられても、追求してゆくとつながりが見えてくる。自分の本質に対峙することから紡げる物語が誰にでもあるはずなのだということを伝える作品群となっている。

■有本ゆみこ(SINA SUIEN)新作発表会「コアラの人」
会期:2024年2月1〜13日
会場:3 to 8  Vintage Apartment Store
住所:東京都渋谷区西原3-32-6 グランメール上原201
営業時間:(平日)13:00〜19:00、(土、日)12:00〜19:00
休日:2月6、7日
※オープニングパーティー:2月3日18:00〜20:00 
オーダーメイド予約・問い合わせ先:Instagram @3_to_8_apartment_store 
*DMより要問い合わせ

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TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

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