「大量コンテンツ時代に選ばれる方法」 『ハイパーハードボイルドグルメリポート』上出遼平 × 『街録ch』三谷三四郎 対談中編

『ハイパーハードボイルドグルメリポート』や『蓋』、『ハイパーハードボイルドグルメリポート no vision』など、独自のコンテンツで人気の上出遼平と、開設から2年たらずで60万人以上のチャンネル登録者を獲得したYouTube番組『街録ch』の三谷三四郎による初対談。

現在、多くのコンテンツがさまざまなメディアで配信される中で、この2人のコンテンツがなぜ注目を集めるのか。その理由を2人の会話から探っていく。中編では、「大量コンテンツ時代に選ばれる方法」や「個人とチームでの制作の違い」「本音を引き出すために心がけていること」などについて語ってもらった。

前編はこちら

取材を通してファンを増やす

——これだけ世の中にコンテンツが溢れている時代に、お2人が自分の番組を選んで見てもらうために意識していることはありますか?

三谷三四郎(以下、三谷):僕で言うと、『街録ch』を始めた時には、こんなにすぐにチャンネル登録者数が伸びるとは思っていなくて。それでも「増やし続けることができるな」と思った理由の1つは、視聴者がどうこうっていうより、取材した人が「良かった」と思ったら、その人の友達とか家族とか10人くらいは登録してくれるかなって感じていて。それを1000人とか1万人とか取材していけば、いずれは登録者数100万人くらいにはなるかなって考えでやっています。

上出遼平(以下、上出):取材を通してファンを増やすってすごい発想ですね。

三谷:テレビのディレクターをやっていると、取材対象者と仲良くなって、人間的に好きになることもありますよね。でも、VTRチェックで上の人に、「こうしたほうがスタジオでリアクションしやすいよね?」みたいな方向の変な直しをやらされることもあって。基本的にそんなことをやっていたら、取材対象者の得にならないし、それを僕が犯人になってやらないといけない。それがすごく嫌で、テレビでオンエアされる時に「あの人は、どう思ってるんだろう」とか「クレーム来たらどうしよう」って震えながら違う仕事をしてるみたいなことがありました。

だから、自分でやるなら(取材対象者が)一般の人だし、協力してもらってるし、なるべく得になるように作ろうっていうのが一番あります。あと、作りでいうとテレビがちゃんとしてるから、こっちは逆をいくというか。インタビューしている時に携帯が鳴ってもそこを使ったりして。「このシーンいる?」みたいなのをあえて使ったりもしますね。

YouTubeのセオリーでいったら、いきなり本題から入った方がよくて、『街録ch』だと取材対象者が最初から話したほうがいいんですよね、でも、無駄にオープニングがあって、僕が歌ったりして。こっちはカウンターなんで、みんながしないことをやっている。そういう歪なところを愛してくれればいいかなって感じでやってます。

——『街録ch』では過激な発言とかもありますが、取材対象者には投稿前にVTRチェックをしてもらうんですか?

三谷:そうですね。最近はほぼ確認してもらっています。昔は「確認したいですか?」って聞いて、確認したい人には送ってたんですけど、最近は全部に送るようになりました。「もし、しゃべりすぎたなと思ったらカットしますよ」って伝えて。

——アップされた後にクレームが来ることはないですか?

三谷:例えば「お母さんに虐待された」って話をしていて、お母さんの方から「やめてくれ」ってDMが来たことはありました。その人が本当のお母さんだとわかれば、その動画は非公開にします。僕としては、親子関係を崩したいわけじゃないし、そのお母さんの生活を守ることの方が大事。結局、僕の場合は嫌われたら終わりなので。

でもそういう意識を持てるのはテレビのおかげだと思います。テレビをやっていた時に、あるプロデューサーに「この人はこう言ってるけど、相手が訴えてきたらやばいよ」みたいにアドバイスしてくれる人がいて。それは今でも参考にしています。

上出:テレ東は一般の人を取材対象にする番組が多いので、三谷さんの言っていることはすごくよくわかりますね。

「嫌われない」とか「相手のメリットになる」ことと、「お客さんに見てもらえるものを作っていく」ってことは、そんなに違うことではないと思う。特に『街録ch』に関して、一番面白いなと思うのは「自分を出してよ」っていうDMが来ること。それは番組運営的にもいいことだし、人って自分のことを「話したい」から、その欲望に応えている仕事ですよね。

僕なんか、外国に行って、貧しい人や苦しい境遇の人に話を聞いて、その人の話を使って、番組にして、日本でうまい飯を食っている。それだけで言ったら、僕はかなりヤバい奴だし、卑怯な奴だと思うんです。それでも何でギリギリ成立しているかっていうと、彼らが「誰かに話を聞いてもらいたい」って欲望を持ってるから、僕のやっていることも正当化できる。『街録ch』に関しては、それが全面に出ていて、完全に「話したい」っていう欲望に駆動された番組っていうことがすごく面白いなと思いますね。

三谷:SNSとかやってないような、出ても何のメリットもない人からも連絡が来ますからね。時々「もうちょっとエグイことしゃべんなくてよかったですか?」って自分から言い出したりして。出てくれた人が番組を面白くなるように考えてくれるんです。

上出:なんだろうその感じ。テレビの取材でそんなことって絶対ないですよね。むしろ向こうはちょっと警戒してたりして。出る人も、YouTubeより地上波ってことの恐怖があるんでしょうか。

三谷:量の信用度かもしれないですね。『街録ch』はコンテンツが500本以上アップされていて。そもそも嫌な人は応募してこないし。ここの中にいてもいいかなって思えるくらいの量がある。もしかしたらテレビにもそういうのがあって、朝ドラ的に毎朝流れていたら、同じような現象になるのかもしれないです。そこはYouTubeだろうが、テレビだろうが関係ないのかも。

それこそさっき言った「得になれば増えてくんじゃないかシステム」を思いついたのも、『街録ch』をやるきっかけになった東野(幸治)さんとやった番組(『その他の人に会ってみた』)なんです。その番組で、鳥取砂丘の方に行って、70歳のおじいちゃんが取材させてもらったんですけど、その番組が関東ローカルだったので、後日番組のDVD を送ったんです。そしたらすごく丁寧な文章が送られてきて、「こんなにも人を感動させられる能力があるんだ、俺」って気づいて。これで飯が食えたらいいなってその時に思いました。

上出:人を傷つけて飯を食ってた時に比べたら……。

三谷:気が楽っすね。だって半日とか取材した人のVTRを上の人が平気で「うーん、面白くないからカット」ってありましたから。せめて30秒でも使おうよって思うんですけど。でも相手への言い訳も「確実にオンエアするとは言ってないんで」みたいに、そういうのが上手くなっていく自分も嫌でしたね。

——上出さんは自分の番組が選ばれるために意識していることはありますか?

上出:基本的には自分の欲望に正直になることが大事かなと思っています。例えば、視聴者とか、誰かの欲望を想定してモノ作るって、僕は無理だと思っていて。人の欲望ってわからないから。だから、自分が行きたいところに行く、会いたい人に会う、聞きたいことを聞くってことにピュアになろうというのがベースにはあります。たぶん僕が作る番組はそれが貫徹されていて、嘘がないから、見るほうも見やすいと思います。

——確かに上出さんの番組を選んで見る人は、内容はもちろんあると思いますが、「上出さんを信頼しているから見る」人も多そうですよね。

個人とチームの違い

上出:三谷さんは前に「『街録ch』は自分が話を聞いているってことが大事だ」と話してましたよね。『ハイパーハードボイルドグルメリポート』(以下、『ハイパー』)では、いろんなディレクターにロケしてもらったりするんですけど。三谷さんの場合は「自分でやる」っていうのが、番組の人気に関わっている。人気ラジオ番組のパーソナリティにファンがたくさんついているような感覚に近いですよね。

三谷:やりながら気づいたのは、YouTubeって真ん中に軸がないといけないプラットフォームだと思うんです。ヒカキンはヒカキン、ヒカルはヒカルみたいに。で、『街録ch』は、僕なんです。ほぼ僕は映らないけど、でも僕の声が入る。となると、この声が変わった時点で応援してくれている人は冷めるんだろうなって思って。だから投稿頻度は限られるかも知れないけど、僕が聞くことが大事かなって思っています。

あと僕自身が他人のVTRを直すことに、メッチャ冷めてるんですよね。テレビをやっていた時に、他人が撮影した素材を僕が編集することがあったんですけど、そこに愛情を持てなくて。だから、なかなか人に任せようって気にならないんですよね。

——『ハイパー』はチームで作っていますが、上出さんはその辺りどう考えていますか?

上出:物量を無視して言えば、一番楽なのは自分ひとりでやっちゃうことだけど、一方で自分の限界を感じるんです。人とやらないと、もうダメかなって。今、『ハイパー』のディレクターって、僕と歳の近い先輩と、何歳も下の後輩と、この前ADで入ってきた1年目の子なんです。でも、全員ほぼ並列で、僕のVTRに対しても1年目の子もいろいろ言える状況にしてます。そうじゃないと自分の正解だけがずっと正解のままになってしまう。そうでなくなることなんていくらでもあるわけで、それを世に放つことになるのが怖いと思ったし、どれだけコストがかかってもチームでやろうと考えました。

内容的にも1年目の子が撮ってくるものでも「これは俺では聞き出せないな」とか思うこともありますし。そういう意味でも、仲間がいることで自分が成長できることがあるので、仲間でやることに固執しています。本当は苦手なんですけどね、仲間作るの。苦手なんですけどやらないといけないなと。あとは、今のチームに恵まれているのは大きいですね。

三谷:それでいうと、僕の場合は奥さんになるのかな。奥さんがテレビディレクターなんですよ。優秀で、26歳で局員でもないのにディレクターになって、普通にゴールデンで20分くらいのVTRを作った時期もあったりして。今は育休中なんですけど。『街録ch』のVTRを見てもらっていて、時々「ここはちょっと意味わかんない」って言われますね。ムカつくから無視する時もあるけど、なるほどと思って、そこは直したりして。

それと他人からのアドバイスという意味だと、僕の場合はYouTubeのコメント欄がそれかもしれないです。「こういうこと思われちゃうんだ」って気づきは、毎日投稿をしてるから、そのチャンスは多いと思います。

上出:テレビだとそれはないですね。エゴサーチすればあるかもしれないけど。

三谷:そこにハッとさせられることは多いんです。匿名のムカつくやつもあるんですが、「ここを面白いと思ってくれるんだ」とか。自分ではあまり面白くないかなって思ってても、反響がよかったりして。だから毎日コメントは見ますね。

あと、DMMさんから何度もお誘いを受けて、オンラインサロンもやっていて。それも最初は、やりたくないって思ってたけんですけど、クローズドの空間だからこそ、話せることもあって。例えば「この動画の率直な感想をください」って投稿して、そこでの意見を参考にして、サムネイルを作ったりして。

上出:オンラインサロンをそんな風に使えるんですね。それが驚きです。会員はどれくらいいるんですか?

三谷:会員は、160人くらいいるんですけど、もはや僕にしかメリットがない状態になっていて。

上出:160人はどんな人が参加しているんですか?

三谷:ホントにいろんな人が来ますけど、いわゆる一般のオンラインサロン的な「意識高い系」じゃなくて、どちらかというと『街録ch』にでてきそうな人達が多くて。実際に何人かは『街録ch』に出たりしています。

上出:それはきっと、チャンネルに出たいわけじゃないけど「三谷さんに話を聞いてほしいな」って思いがどっかにある人が集まって来てるんですよ。三谷さんはもともと相談されがちだったんですか?

三谷:相談されがちというか、余計なことに首を突っ込んで、痛い目にあうことは時々ありましたね。

上出:メッチャわかるなぁ(笑)。今日話していても、三谷さんには話を聞いてもらいたくなる人がたくさんいるんだろうって思ったので。

三谷:そう思ってもらえたら嬉しいんですけどね。でも性格はメッチャ悪いですよ。

上出:(笑)。

「否定しないこと」と「信憑性」

——お2人は一般の人を相手にインタビューすることが多いですが、本音を引き出すために心がけていることはありますか? 

三谷:一般の人で言うと「理解しようとして聞く」ことですかね。わからないものをわからないまま素通りしないようにしています。テレビ番組だとプレビューっていう試写で「これってどういう意味?」って結構聞かれるんです。「なんでこの人はこういうことをするようになったのか」とか、すごい細かいことを聞かれたりする。それに答えられないと“使えないヤツ”みたいな扱いをされるので、疑問はちゃんとつぶすクセが付いているんですよね。わからないことをわからないままにしないって言うのだけは気を付けています。あとはあんまり準備しすぎないとか。準備しすぎると形式的になっちゃうし、内容もつまらなくなっちゃうかなと。

——犯罪とか触れにくいことについては? 率直に聞くんですか?

三谷:それに関しては、僕の方も絶対に聞くぞ! とは思ってなくて、「しゃべれるんだったらしゃべってほしいけど、無理だったら無理でいいですよ」って感じで聞いてますね。最高年収とか聞く時も「言えたらでいいんですけど、MAXどのくらい稼いでたんですか?」とかそんな感じ。言いたくないなら、言わなくても別にいいと思っています。

——それで意外としゃべってくれる?

三谷:そうですね。あと、例えばタレントの名前とか、言えなかったとしても、その周辺の話が面白い場合もあって、「それがわからないとそもそも想像できないから、後でピー音を入れるので、教えてもらえますか?」とか、「使わないけど、教えてもらっていいですか?」って聞きます。

——上出さんはどうですか?

上出:僕の場合は三谷さんのようにDMをもらうってことはなくて、逆に「テレビとか出たくない」って人に話を聞きに行くことが多い。もともとその人の中に「話したい」ってものがない状態からの出発が多いので、その分ハードルはちょっと高いと思いますね。

その上で、基本的にはとにかく否定をしないことが、絶対に大事。何かあって「いや、でも」って言うのは、絶対にアウト。反論したりとか否定したりは絶対にしない。特に僕が取材する相手は、生まれてから否定され続けてきた人が多いから、彼・彼女達が自分のことをしゃべる時に、「あれ、この人は否定しないな」って気づきはじめる。するとどんどん「これもしゃべってもいいんだ」っていうのが出てきて、今までしゃべったことのないことをしゃべってくれる。そして心を開いてくれる。

プラス、さっきの三谷さんと同じで「なんで」っていうものをどのくらい聞けるかがディレクターの腕だと思っていて、それができないと物語が成立しなくなる。その人の人生をなぞっていった時に、その行動の動機がわからないことが1個生じた時に、もう追いつけなくなっちゃうから。その人が思い切って出したことに対して「どうしてそうしたんですか?」「なんでその選択をしたんですか?」とか聞いていくと、本人も考えるんです。人生のある時の選択って、本人もぜんぜん意識してなかったりするんですが、そこで初めて考える。

それをやっていくと、本人の中でこれまで自分の歩んできた道が整理されて、気持ちよくなっていって、インタビューが終わった時に「ありがとうございました」ってなることがすごく多い。それは何かカウンセリングみたいな面もあって、今まで澱みたいになっていたものがほぐれていって、話すことができたって経験として、その出会いが終わる。それを繰り返してますね。

三谷:テレビをやっていて「なんでお前がこいつのことを裁くんだ」って思うことがあったけど、僕らの場合は人を裁かない。「こういう風に思わなかったんですか?」って言いますね。さっき言ったように「否定しない」っていうのはそうかもしれないです。否定するとしゃべりたくなくなっちゃうから。もちろん心の中で「それはよくないことじゃないかな」って思うけど「よくない」って言うよりは、「なんでそんなことしたんですか?」って聞いたほうが、コンテンツとしては面白くなる。

上出:僕らはそもそも人のことなんて裁ける存在ではないじゃないですか。テレビが今まであまりに偉そうだっただけで。人のチョイスを当たり前のように「喝!」とか言ってることがどうかしてると僕は思っていて。その人にはその人の選択がある。それを一回飲み込むことが絶対に必要で、インタビュアーとしての最低限のマナーだと思うんです。

一方で難しい部分も実はあって、その人が話したいことだけを話している状況がどこまで面白いかっていうのも微妙なとこで。例えば犯罪をずっと繰り返している人のインタビューも多いんですけど、本人に自分の生い立ちを話してもらって「こんなことがあって、こういうことをせざるを得なかった」ということを言う。それはそれで「なるほど」と思うけど、「あなたにバイクを盗まれた人やあなたに殴られた人についてはどう思うんですかね?」みたいなことは、自分としてはやらないといけないなと思ってる。しっかりそれをやっていったら、その人の中でもわだかまりが解消されることにもなったりする。

瞬間的にはかなり話したくないとか、聞かれたくないことである場合が多くて、本人もそこに蓋をしているし、目をつぶってる。でも目をつぶったままだと、物語としても中途半端で、ただのヤバい人の政見放送みたいに本人がしゃべって満足して終わりになる。でもそれだと僕の存在がいらなくなる。やりとりによって生まれるものをコンテンツにしたいという思いがあるから、聞かれたくないだろうなってことも聞くことは結構ある。ただいきなり聞くわけじゃなく、それまでに会話の助走があって、もうここで聞いてもいいだろうなっていうところまで短い時間でも信頼関係を作っていって、最後の最後に聞くようにしています。

——「否定しない」という前提だと、本人の話の信ぴょう性がどこまでなのか、というのもある程度考えないといけないですよね?

上出:それは超大事ですし、すごく注意深くやっています。例えばある事件の話をするとして「これ警察のでっち上げなんですけどね」とか言いはじめる。おそらく何度も「自分は正しい」というスタンスで話しているので、その人の話には説得力があったりするんです。だけど「裁判ではどうだったんですか?」とか、僕がどう思ってるじゃなくて、周辺の事実関係をちゃんと聞くのは大事だと思っていて「あなたは、『でっち上げ』といってますが、判決としてはどうだったんですか?」とか「みなさんの立場として『でっち上げ』という確信があるってことですよね?」とか。それは視聴者にもわかるようにしています。

三谷:なるほど。参考になりますね。僕はそこまでできていなくて、全員の裏取りのしようがないし、 そもそも“ノンフィクション”って謳ってないしってどこかで諦めてました。「勝手に自分の前でそういうことをしゃべりたいって人が現れた」「そういうことをしゃべってくれた、それのみが真実です」みたいなことを言い訳にしてました。だから上出さんみたいな聞き方があるなっていうのは、今思いました。『街録ch』でもよく「みんな都合のいいことしかしゃべらないよね」みたいなコメントをもらうこともあって「そうなんだけど、裏取りなんてしようがないよな」って思ってたんです。

だからこの前、YouTuberのへずまりゅうに取材した時に、「なぜ迷惑系YouTuberになったか」って理由をしゃべっていて。話している時には、僕も「これ全部本当なのかな?」って思ったんですよね。でも「ウソだろ」とも言えないし、これどうしようかと思った時に、僕が唯一できたのは、「仮にこれが全部本当だとしたら、確かに頑張ってほしいですけどね」って言うことだけでした。結局いろんな人から「全部ウソですよ」って連絡がきたりして。でも「全部ウソですよ」って言われても、それをどうやって証明するのか。後日、「『ウソです』って言われてるけどどうですか?」って聞きに行ってもいいけど、わざわざそこに枠を使うのはどうなんだって悩んだりもしますね。

上出:僕もへずまりゅうの動画を見ていて、三谷さんが「本当だったとしたら……」って言ってくれて、ホッとした。このまま悲劇のヒーローとして終わっていったらヤバいぞと思ったので。

三谷:難しいんですよ。VTRの最後に注釈的に僕がしゃべる動画につけるのも考えるんですけど、何か違うなと思ったりもして。

上出:あれだけ色んな人に話を聞いてたら、難しい人も出てきますよね。下調べをなるべくしないと言っていて、僕もそのスタイルの方がいいかなと思ったこともあったんですけど、それだと、そこらの辺のことができなくなる。瞬発力でそこのケアするのはすごく難しいんですよね。

三谷:でも、そこは気をつけないといけないですね。参考にさせてもらいます。

後編に続く

上出遼平(かみで・りょうへい)
テレビディレクター・プロデューサー。1989年東京都生まれ。早稲田大学を卒業後、2011年テレビ東京に入社。テレビ番組『ハイパーハードボイルドグルメリポート』シリーズの企画、演出、撮影、編集まで番組制作の全工程を担う。2020年3月には書籍『ハイパーハードボイルドグルメリポート』を出版。現在はSpotifyにて史上初の音声による超没入型ドキュメンタリー『ハイパーハードボイルドグルメリポート no vision』を配信中。
https://www.tv-tokyo.co.jp/hyperhard/
https://open.spotify.com/show/4nNKlfOpKLybWKxhZ9lrzU
Twitter:@HYPERHARDBOILED

三谷三四郎(みたに・さんしろう)
ディレクター。1987年生まれ、東京都出身。法政大学卒業後、情報番組や『笑っていいとも!』などのADを経て、『さまぁ~ずの神ギ問』『有吉ジャポン』などのディレクターを務める。2020年3月にYouTubeチャンネル『街録ch~あなたの人生、教えて下さい~』を開設し、一般人のほか、東野幸治など話題の人物にインタビューしている。
https://www.youtube.com/c/街録ch-あなたの人生-教えて下さい
Twitter:@3tani34ro

Photography Masashi Ura

『街録ch』

■『街録ch』2周年記念ライブ 街録ch-episode.0-
日程:4月14日
場所:草月ホール
住所:東京都港区赤坂7-2-21 草月会館B1F
時間:18:00開場、19:00スタート
料金:¥5,500(会場)、¥2,200(配信視聴)
チケット購入はこちら
https://www.red-hot.ne.jp/play/detail.php?pid=py22366

author:

高山敦

大阪府出身。同志社大学文学部社会学科卒業。映像制作会社を経て、編集者となる。2013年にINFASパブリケーションズに入社。2020年8月から「TOKION」編集部に所属。

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