連載「クリエイターが語る写真集とアートブックの世界」Vol.7 どついたるねん 先輩 本はほとんど手放す先輩が手元に残している3冊

常に新鮮な創造性を発揮するクリエイターにとって、写真集やアートブックを読むことは着想を得るきっかけになるだろう。この連載ではさまざまな領域で活躍するクリエイター達に、自らのクリエイションに影響を与えた写真集や注目のアートブックなどの書籍を紹介してもらう。

第7回に登場するのは、2007年に結成し今年で15周年を迎えるロックバンド「どついたるねん」の先輩。記憶に新しい音源ダウンロードコード付きの弁当箱リリースや、粗悪な画質の配信ライブ。いつ見ても変わらずに、進化し続けているバンドだ。そんなどついたるねんのメンバー先輩は、そもそもアートブックや写真集をほとんど持っていないという。その中でも「なぜか捨てられない」という理由で所有し続けているアートブック3冊を紹介する。

ビースティ・ボーイズ
『LICENSED TO ILL TOUR 1987』

古着店を開店するならば持っておくべき1冊

1987年のビースティ・ボーイズのツアーのパンフレット。高校生の時通っていた、町田の古着店に飾ってありました。店長が「この本1冊あれば古着店を始められる」と言っていて(笑)。意味がわからないじゃないですか。当時はちゃんと見たことがなくて、大人になってから買いました。確かに、ここに載っているものを全部そろえればお店が開けるだろうなと思いました。

自分のバンドも写真集を出していますが、1枚のアルバムのツアーで本を出すのはすごいですよね。あとグラフィティの感じも好きです。

塚本弦汰
『先輩ちゃん』

後輩が撮りためた先輩の写真集

これはマネージャー兼カメラマンを務めていて、今はYouTubeでも活躍している塚本弦汰が手がけた俺自身の写真集です。弦汰がバンドに帯同していた2015年のアメリカツアー等、2年ほどの間に撮影した写真がまとまっています。限定1部だったため、最初はウェブサイトで150万円で販売を始めて。売れなくてBASEで上限価格の50万円で出品しても売れなかったので、今ここにあります。希望者がいればいつでも販売しますよ。

このグラフィティ、自分が描いたみたいですよね。絵は小さい頃から描くのが好きで、漫画のようなイラストはよく描いていました。

伊藤彩
『RAPID RABBIT HOLE』

和歌山出身の現代アーティスト

絵画や立体作品、インスタレーションを制作しているアーティストの作品集。「ラブパワー」のアートワークも担当してもらったことがあります。この本にも寄稿させていただいたのですが、彼女は小さい頃に絵が好きだった感覚そのままで作品を作り続けていることがすごいなと思います。実家が和歌山のみかん農園で、ダブリンと和歌山を行ったり来たりしているみたいなんですが、和歌山でライブがあった時はバンドメンバーみんなで実家に泊めてもらいました。彼女の作るおにぎりも世界で一番おいしいです。

まず登場するモチーフを立体で制作したり、ためておいた落書きを切り抜いたりしてリアルなジオラマをつくり、それを写真に撮って油絵で描き直す「フォトドローイング」という手法で絵を描いているそう。

「捨てることがアウトプットに近い感覚なのかもしれない」

昔から絵を描くのは好きでした。小学生時代に巻物を作ったことがあるのですが、1日で完成させて周りを驚かせました。その時はカブトムシの絵をよく描いてました。甲虫が好きなのかもしれません。学生時代はよく本も読みましたが、今は本や漫画はほとんど持ってないです。所有欲はあって気になったもの、好きなものは一度手に入れますが、その後手放すのも早いです。本に限らず服やバンドの機材にも愛着がないので、数年前と今では持っているものも全然違います。

自分が作った曲ですら、作って出すまでがピークで昔の曲を聴き直すことはほとんどありません。捨てることがアウトプットに近い感覚なのかもしれないです。作品作りのためにアートブックを物理的に読み返すことはしませんが、これまで見たものが影響しているのだと思います。愛を持ってアートブックを読んでほしいですね。

Photography Kentaro Oshio
Text Akiko Yamamoto
Edit Kumpei Kuwamoto(Mo-Green)

author:

mo-green

編集力・デザイン思考をベースに、さまざまなメディアのクリエイティブディレクションを通じて「世界中の伝えたいを伝える」クリエイティブカンパニー。 mo-green Instagram

この記事を共有