気鋭の若手写真家を取り上げて、「後ろ姿」という1つのテーマをもとに自身の作品を紹介する連載企画。後ろ姿というのは一見して哀愁や寂しさを感じられることが多いが、見る対象や状況によっては希望に満ちたポジティブな情景が感じられることもある。今回は写真と映像を主にクリエイティブ活動を行っている西村理佐。破滅的である自身の今の気分に「後ろ姿」を重ねた作品を取り上げる。
People avoid it even if it is established by one word.

前を歩く人の襟足や後ろ髪を目で追いながら道を歩く時、どうか振り向いてと願ったことはないだろうか。
上京して約11年が経ち、知らない街が住んでいる街になったものの、私はどこに越そうと仮住まいである意識が強い。
自分の後ろ姿は見ることができないけれど、誰かを追いかけているようで自分を追い続けているような気もする。
私は一体何を見ているのだろうか。

先頭を歩く人は誰にも振り向かれないが、いつも前を向いている証であり、対象は人とも限らない。
あまりに蒸し暑く蜃気楼が浮かぶくらいのこの東京では、人はまるで逃げるかのように涼しい箱に入っていく。そして冷やしすぎた身体をかんかん照りの太陽の下に戻すということを繰り返す。
振り向いてほしいと願うわりには声をかけることは思い留まる。ただただ願う。
祈ることと叶えることは大きく違い、人々が救われる、あるいはその気になれる要因でもある。

後前は表裏なのか。そういう時もある。
声をかければ簡単に叶うものの、人はついややこしさを選択して奇跡として願ってしまうのだ。別に要らないし、別に好きだ。
一言で成立していても、人はそれを避ける。


実際はドキュメント、ジャーナリズムと思いつつも自分の固定観念にとらわれない作品を撮ってみたい
−−写真を始めたきっかけは?
西村理佐(以下、西村):小学5年生の時にそうなんだろうなと思う日があり、その後、絵で自己満足を満たすには描くに足らないのも重なって写真に執着するようになりました。
−−シャッターを切りたくなる瞬間は?
西村:あまりなくて、いつも探しています。
−−オンとオフで愛用しているカメラは?
西村:オンもオフも「キヤノン」Mark 4や「コンタックス」 G1、「キヤノン」の古いフィルムカメラで、あと半分はジャンクとして売られているものを買って生き残っていたカメラです。
−−インスピレーションの源は?
西村:自身の私生活と非現実。客観。眠る時に見る夢。
−−今ハマっているものは?
西村:古着集め、散歩。
−−今後撮ってみたい作品は?
西村:実際はドキュメント、ジャーナリズムが一番強いと思いつつも自分の固定観念にとらわれないもの。私自身が感動する写真を撮り続けたいですね。
−−目標や夢は?
西村:優しく認知されて、地元に貢献したいです。
西村理佐
1992年、北海道出身。桜美林大学映画専修卒業後、写真と映像を主にクリエイティブ活動を行う。ディレクションやプロデュースも手掛ける。
https://www.instagram.com/184184/?hl=ja
https://nishimura-risa.tumblr.com
Photography & Text Risa Nishimura
Edit Masaya Ishizuka(Mo-Green)