世界的ヘアデザイナーの加茂克也のクリエイションに触れられる貴重な展覧会が開催 ヘッドピースや箱型のアートピースなど450点以上を展示

2020年2月に54 歳で亡くなった世界的ヘアデザイナーの加茂克也の展覧会「KAMO HEAD ‐加茂克也展KATSUYA KAMO WORKS 1996‐2020‐」が3月21日から表参道ヒルズの地下3階の「スペース オー」で開催されている。会期は4月2日まで。

本展では世界を舞台に活躍した加茂の約20年に渡る創作活動を紹介。「シャネル」や「ジュンヤ ワタナベ」、「アンダーカバー」、「アンリアレイジ」などの国内外のコレクション用に制作したヘッドピースが261点、パーソナルワークとして虫や卵の殻、枝などを使用して制作した箱型のアートピース222点が展示されている。

もともと本展は加茂の発案で4年半前からスタートしており、当初は2019年春に開催予定だった。ところが、開催直前で加茂が病気で体調を崩し、延期に。その後、2020年2月に加茂が亡くなったことやコロナ禍などで、なかなか開催できず、このタイミングになったという。

会場のコンセプトは加茂がよくものづくりをする時に好んでいたという“カオス”。展示が細かく区切られており、迷路のような作りとなっている。

会場の中央に設置された加茂のアトリエは、当時使用していた机や道具、背景に貼ってあるポラロイドの作品の順番なども忠実に再現。さらに加茂のアイデアソースをまとめたポラロイドブックも見ることができる。

また、加茂が出演した『デザインあ』(NHK Eテレ、2019年10月5日放送)も見ることができるほか、作品集『KAMO HEAD』や『GASBOOK 29 KATSUYA KAMO “100 HEADPIECES”』も販売している。

さまざまな素材をヘッドピースとして使用し、その斬新なアイデアで見る人を驚かせてきた加茂。ヘアデザインというと髪だけを想像するが、その既成概念にとらわれない作品の数々を一挙に見ることができ、加茂のクリエイションの源に直接触れられる貴重な展覧会となっている。

Photography Kohei Omcachi(W)

加茂克也
ヘアデザイナー。1965年福岡県生まれ。1990年に渡仏。帰国後、ファッション雑誌を中心に広告やショーなど幅広く活躍。1996年から「ジュンヤ ワタナベ」、1997年から「アンダーカバー」のコレクションのヘアを手掛ける。2003年、毎日ファッション大賞グランプリを受賞。2005年からは活動の場を海外に広げ、モード誌やアート誌でも活躍。2008年以降は、「フェンディ」、「シャネル」、「ハイダー アッカーマン」、「キコ コスタディノフ」のファッションショーや、「ケンゾー」、「マメ クロゴウチ」などのキャンペーンビジュアルのヘアを手掛ける。2015年に個人事務所 「KAMO HEAD」を立ち上げ独立。その後も東京、ニューヨーク、パリを中心に グローバルに活動。2020年2月、54 歳で永眠。

■「KAMO HEAD ‐加茂克也展 KATSUYA KAMO WORKS 1996-2020‐」
会期:2023年 3月21日~4月2日
会場:表参道ヒルズ 本館B3F スペース オー
住所:東京都渋谷区神宮前4-12-10
時間:11:00~21:00
※3月26日、4月2日は20:00まで。 
※入場は閉場30分前まで 
入場:無料
https://www.omotesandohills.com/events/event/2023/008265.html

author:

高山敦

大阪府出身。同志社大学文学部社会学科卒業。映像制作会社を経て、編集者となる。2013年にINFASパブリケーションズに入社。2020年8月から「TOKION」編集部に所属。

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