連載「The View My Capture」Vol.13 写真家・Sean Hazenがライフワークである旅の記録の中から写し出す「後ろ姿」

気鋭の若手写真家を取り上げて、「後ろ姿」という1つのテーマをもとに自身の作品を紹介する連載企画。後ろ姿というものからは一見して哀愁や寂しさを感じられることが多いが、見る対象や状況によっては希望に満ちたポジティブな情景が感じられることもある。今回は、ロサンゼルスを拠点に広告やメディアで活躍する写真家のショーン・ヘイゼン(Sean Hazen)の作品。彼のライフワークである「旅」の中で記録してきた、さまざまな土地の日常に写し出された「後ろ姿」を紹介する。

ショーン・ヘイゼン
1995年、岡山県生まれ。2012年にアメリカのルイジアナに渡航。高校卒業後、2014年にサンフランシスコのカリフォルニア美術大学/California College of the Arts(CCA)でファインアーツと家具デザインを専攻する。2016年にロサンゼルスに拠点を移し、フォトグラファーとしてのキャリアをスタート。メキシコやアメリカ全土、ヨーロッパを中心とした旅をライフワークとし、その土地の日常や風景を美しく記録する。
www.seanhazen.com
Instagram:@sean.hazen

日常の後ろ姿

「後ろ姿」というテーマで、これまで撮り下ろしたアーカイブを見返し、旅をする中で正面のポートレートだけでなく、「必然的に」または「無意識に」後ろ姿の写真も撮ったのはなぜかを、過去の自分、そして作品1つ1つと改めて向き合い考察してみた。

それぞれの場所で通り過ぎていく被写体や風景を写真に収めるということは、とても優柔不断な僕にとって瞬間的な小さな決断の積み重ねだと思っている。

その上で人物を撮る場合、彼らに意識を向けてもらうか自然な状態を撮るかどうかは最初の分かれ道だ。

どうしてもその人のポートレートを撮らせてもらいたいと思いコンタクトを取ることもあれば、声をかけずにそのままでいてもらって撮ろうとすることもある。

後者を選ぶのは、良くも悪くもフォトグラファーとして手を加えることになり「日常の風景」が変わってしまうからだ。

また、“顔”というアイデンティティがあると、写真を見る側は全体よりもそちらの情報に集中しがちになる。

映画館で映画を見るように、静止ボタンがない状態で自分が心地いいと思う距離と角度を探しながら、被写体が日常を生きていることで作られる風景を受け入れ、その1つのパズルのピースがハマった瞬間を写真に収める。

そういうプロセスが、自然とこの「後ろ姿」になったのだと思う。

僕にとって、毎回旅でひらすら撮ったものの中から自分自身でオーガニックにインスピレーションの源を生み出せることが理想

−−写真を始めたきっかけは?

ショーン・ヘイゼン(以下、ショーン):小学生の頃に親にもらったデジカメで、旅行に行くたびに記録的に写真を撮っていました。2011年ぐらいにInstagramを始めてから写真を撮って共有するというコミュニティと喜びができて、そこからずっと撮り続けています。

−−シャッターを切りたくなる瞬間は?

ショーン:何かを目指して撮ろうというよりも、自発的に旅先での日常風景や出会う人達の暮らし方や建造物、自然等に感化された時に撮りたくなります。

−−オンとオフで愛用しているカメラは?

ショーン:オンの時は中判の「ペンタックス 67」、「マミヤ RZ67」を、オフの時は「フジフィルムXpro 3」「コンタックス G1」で撮ります。

−−インスピレーションの源は?

ショーン:毎回旅でひらすら撮って、そこから自分自身でオーガニックにインスピレーションの源を生み出せるのが理想ですが、旅に行けない時は映画を見たり、美術館やギャラリーで彫刻や絵画など写真以外のいろいろなメディア作品を見たりしてインスピレーションを受けています。

−−今ハマっているものは?

ショーン:主にビカクシダやモンステラなどの観葉植物を収集すること。あとは、Instagramに出てくる料理動画を見て、自分でも今まで試したことがなかった食材等を使って料理することにハマっています。

−−今後撮ってみたい作品は?

ショーン:まだ行ったことのない中東や北欧の風景を撮ってみたい。

−−目標や夢は?

ショーン:よくメキシコに行って写真を撮っているので、作品がまとまったら写真集を制作し、合わせて展示をしようと計画しています。メキシコシティでも、別の作品の展示をしてみたいですね。夢はヨーロッパに移住することと、余裕ができたら保護犬をアダプトすることです。

Photography & Text Sean Hazen
Edit Masaya Ishizuka(Mo-Green)

author:

mo-green

編集力・デザイン思考をベースに、さまざまなメディアのクリエイティブディレクションを通じて「世界中の伝えたいを伝える」クリエイティブカンパニー。 mo-green Instagram

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