気鋭の若手写真家を取り上げて、「後ろ姿」という1つのテーマをもとに自身の作品を紹介する連載企画。後ろ姿というのは一見して哀愁や寂しさを感じられることが多いが、見る対象や状況によっては希望に満ちたポジティブな情景が感じられることもある。今回は、バンド「yonawo」のギタリストとして活動しながら、作品のアートワークやオフィシャルグッズのルック撮影も手掛けるなど、写真家としての顔も持つ斉藤雄哉の作品。彼が見る「後ろ姿」と、そこにある心地良いと思える瞬間を収めた作品を紹介する。
斉藤雄哉
1998年、福岡県出身。2019年にメジャーデビューを果たし、フジロックフェスティバルやサマー・ソニックをはじめ日本を代表する野外フェスティバルにラインアップされるバンド「yonawo」のギターを務める。高校時代から独学で写真を撮り始め、今では10台以上カメラを保有しているほど生粋の愛好家。「yonawo」のアートワークや、グッズのルック等の撮影も手掛ける。
Instagram:@juriank
instrument

レコーディングしながら人の背中を眺める。
僕は他の人より後ろ姿を見ている時間が長い気がする。移動中やレコーディング中は、同じ人の背中を何時間も見ている。まあまあカオスな空間だ。


人の情報のほとんどは顔から伝わってくるけど、顔が見えない状態でも相手を知ろうとすることはできる。その人の放つ音や空気、仕草、リズムからも感情は伝わってくるものだ。
時にそれは、姿がそこになくてもそこにいた痕跡から感じられることだってある。

今の世の中は情報が多すぎるし早すぎてうんざりすることもあるけど、たまに時間が止まったように感じる瞬間を見つけられる。
僕にとって余計な情報から離れて1人でいる時や移動中は、喧騒やカオスの中でも安心できたり、心地良いと思える瞬間があったりする。
そういう小さな安らぎを得るために、これからも音や空気に目と耳を傾け続けたい。

初めて訪れる場所や、自分の知らない土地の風景を撮ってみたい
−−写真を始めたきっかけは?
斉藤雄哉(以下、斉藤):高校の頃に、母が昔使っていた「オリンパス」PENを借りて使い始めたのがきっかけです。
−−シャッターを切りたくなる瞬間は?
斉藤:相手がカメラに気付いていないか、自然体でいる時。
−−オンとオフで愛用しているカメラは?
斉藤:「コンタックス」T2、「ライカ」DⅢ、iPhone
−−インスピレーションの源は?
斉藤:音と食事です。
−−今ハマっているものは?
斉藤:Netflixの「Formula 1」というドキュメンタリーを見ることと、フットサルです。
−−今後撮ってみたい作品は?
斉藤:仕事でいろいろな場所に行くので、初めて訪れる場所や知らない土地の風景を撮ってみたいですね。
−−目標や夢は?
斉藤:正直でいること。
Photography & Text Yuya Saito
Edit Masaya Ishizuka(Mo-Green)