連載「The View My Capture」Vol.17 写真家・カクユウシが見る「後ろ姿」の向こう側にある微かな光たち

気鋭の若手写真家を取り上げて、「後ろ姿」という1つのテーマをもとに自身の作品を紹介する連載企画。後ろ姿というのは一見して哀愁や寂しさを感じられることが多いが、見る対象や状況によっては希望に満ちたポジティブな情景が感じられることもある。今回は、グラフィックデザイナーを経て、広告制作会社に勤めながら個人の作品を制作する台湾出身の写真家・カクユウシの作品。観察対象から滲み出る微かな光をかき集めることで、見えてくる「後ろ姿」の向こう側とは。

カクユウシ
台湾出身。グラフィックデザイナーの活動を経て来日。
日本写真専門学校卒業後、現在広告制作会社に勤務しながら個人の作品を制作している。
Instagram: @y.kaku.u
https://kakuyushifoto.wixsite.com/portfolio

背中の向こう側

いつも何かの憬れを精一杯に追いかけている。

けれどもそれはあまりにも高くそびえる存在であって、全体像を掴むこともできず近づけば近づくほどボヤけて曖昧になり、徐々にわからなくなったり、見失ったりして途方に暮れる。

全体像が見えず五里霧中の状態だけど、その輝いている視線に照らされた先から滲み出る微かな光をかき集めれば、次第に後ろ姿の向こう側をイメージすることができる。

そしたらボヤけていたはずの後ろ姿も鮮明に見えるようになってくる。そんな気がしている。

直接観察するよりも後ろ姿を越えてその先を観察すれば、「なぜここに?」、「何のために?」、「どういう風に?」など、本質的なものがより見えてくる。

こういった観察対象から無意識の中に滲み出る情報をパッと見た時に、零細でまとまりに欠けているように見えるかもしれないけれど、心象風景や存在意義およびそれに対する問いかけ等、大事なことがそこに隠れていると直感的に思っている。

だからいつも目を見開き、その微光の中にある大切な情報を見落とさないように。

それは物事について知る時でも、人と付き合う時でも、同じなのだ。

現実が現実っぽく見えない、違和感が溢れてくる瞬間を切り取る

−−写真を始めたきっかけは?

カクユウシ(以下、カク):今振り返って見ると、特にきっかけと言えるきっかけがなく、ただただデッサンのように世界を観察する手段として中高生の頃からずっと撮り続けてきました。

−−シャッターを切りたくなる瞬間は?

カク:現実が現実っぽく見えない、違和感が溢れてくる瞬間です。

−−オンとオフで愛用しているカメラは?

カク:「ジナー P」

−−インスピレーションの源は?

カク:音楽。最近はレコードを聴きながら物事を考えています。

−−今ハマっているものは?

カク:Google Mapを見ずに、目的も目的地もなく散歩をすることです。

−−今後撮ってみたい作品は?

カク:シネマグラフ。写真と動画の隙間で遊びまくりたいです。

−−目標や夢は?

カク:短期の目標は、個展を開催することです。

Photography & Text Yushi Kaku
Edit Masaya Ishizuka(Mo-Green)

author:

mo-green

編集力・デザイン思考をベースに、さまざまなメディアのクリエイティブディレクションを通じて「世界中の伝えたいを伝える」クリエイティブカンパニー。 mo-green Instagram

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