これから訪れたい、2024年春にかけての全国の芸術祭

「瀬戸内国際芸術祭」や「大地の芸術祭」等が行われた昨年に比べると大規模なものは少ないが、「東京ビエンナーレ」や「奥能登国際芸術祭」が行われ、まだまだ楽しみなものが目白押しの今年の芸術祭シーン。これから2024年春にかけて行われる国内の芸術祭を会期終了日の早い順に紹介する。

さいたま国際芸術祭2023

さいたま市で3年に1度開催される、さいたま国際芸術祭。3回目となる今回は現代アートチームの目 [mé] がディレクターを務めるということで注目が集まる。テーマは「わたしたち」。気候変動、社会格差、分断など、さまざまな問題を抱える世界を新たな目線でもう一度「みる」ことを目指している。美術家だけでなく、研究者、編集者、演出家、盆栽師なども参加し、さまざまな作品、公演を展開。

会期:12月10日まで
会場:旧市民会館おおみや他(埼玉県)
公式サイト:https://artsaitama.jp/

ATAMI ART GRANT 2023

アトリエの提供・制作費の支援を行う「ATAMI ART RESIDENCE」と、若手アーティストの制作活動を支援する「ATAMI ART GRANT」を両輪とする「PROJECT ATAMI」が主催。3年目となる今年は「巡 - Voyage ATAMI」をテーマに参加作家を公募。そこで選ばれた副産物産店(矢津吉隆 + 山田毅)や百瀬文等、公募アーティスト20組に加え、∈Y∋やトモトシ&TOMO都市美術館らレジデンスアーティスト34組の作品が展示される。

会期:12月17日まで
会場:ACAO FOREST ほか熱海市内(静岡県)
公式サイト:https://atamiartgrant.com/

FUJI TEXTILE WEEK 2023

1000年以上続く織物の産地である山梨県の富士吉田市で2021年にスタートした、テキスタイルと芸術が融合する布の芸術祭。3年目となる今年は「Back to Thread / 糸への回帰」をテーマに、テキスタイルの原材料である糸に注目。使用されなくなった町中の店舗や工場の廃屋等を会場に、顧剣亨、津野青嵐、ユ・ソラといった注目の若手も参加。デザイン展では100年以上前に作られていた幻の織物「甲斐絹」を期間限定で公開する。

会期:12月17日まで
会場:富士吉田市下吉田本町通り周辺地域(山梨県)
公式サイト:https://fujitextileweek.com/

札幌国際芸術祭2024(SIAF2024)

2014年から3年に1度開催されていたが、3回目となる予定だった2020年はコロナ禍の影響で中止となり、6年半ぶりとなる。ディレクターはアルスエレクトロニカ・フューチャーラボ共同代表でアーティストの小川秀明。冬の開催は初めてで、テーマは「LAST SNOW」。札幌市内6会場を中心に、国内外約80組のアーティストの作品を展示する他、「さっぽろ雪まつり」も会場の1つとなり、北国の冬ならではの芸術祭を目指す。

会期:2024年1月20日〜2月25日(札幌芸術の森美術館は2023年12月16日〜2024年3月3日、さっぽろ雪まつり大通2丁目会場は2024年2月4日〜2月11日)
会場:札幌芸術の森他(北海道)
公式サイト:https://2024.siaf.jp/

やんばるアートフェスティバル 2023-2024

沖縄本島北部、世界自然遺産に認定されたやんばる(山原)地域で開催。その自然や文化に触発された現代美術作品や、やちむん(焼き物)等の工芸作品を展示。7年目となる今回のテーマは「嘉例ヌ源(カリーヌムトゥ)」。嘉例は縁起が良いこと、ヌは7を意味し、沖縄島の始まりの地であり、水源地でもあるやんばる地域が新しいアートの源になることを目指す。浅田政志、山内祥太、吉田山+八木幣二郎、Leggy_、大小島真木等が参加。

会期:2024年1月20日~2月25日
会場:大宜味村立旧塩屋小学校 他(沖縄県)
公式サイト:https://yambaru-artfes.jp/

百年後芸術祭 〜環境と欲望〜 内房総アートフェス

千葉県誕生150周年を記念し、内房総5市を舞台に初開催。総合プロデューサーは会場の1つであるクルックフィールズ(木更津市)の代表で音楽家の小林武史、アートディレクターは北川フラム。国内外のアーティスト等による現代アート作品の展⽰の他、名和晃平も参画するクリエイター集団「Butterfly Studio」による500台のドローンを使ったライヴ・アート・パフォーマンス、音楽や食の企画も行われる。

会期:2024年5⽉26⽇まで(イベント・パフォーマンス)、2024年3⽉23⽇〜5⽉26⽇(アート作品展⽰)
会場:市原市、木更津市、君津市、袖ケ浦市、富津市各地(千葉県)
公式サイト:https://100nengo-art-fes.jp/

author:

小林沙友里

ライター・編集者。「BRUTUS」「THE NIKKEI MAGAZINE」「美術手帖」などで執筆。編集者としては「村上隆のスーパーフラット・コレクション」の共同編集など。アートやファッションなどさまざまな事象を通して時代や社会の理を探求。

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