サステナコスメ「ラ ブーシュ ルージュ」の創業者が語る日本とフランスの共通点とは?

2017年にロレアル出身のニコラス・ジェルリエがスタートしたコスメブランド「ラ ブーシュ ルージュ」。2019年に日本に上陸。当初はリップのみの展開だったが、2020年12月に日本でもメイクアップアイテムが発売された。

同ブランドの最大の特徴はサステイナブルなモノ作り。リップは一般的に用いられるマイクロプラスチックや防腐剤、パラベン、パラフィン、動物性脂肪を含まない。ケースもプラスチックを使用しておらず、レザーケースにリップ本体を詰め替えるスタイルで、そのレザーケースも高級バッグの生産過程で出た切れ端を使っている。そうしたモノ作りへの姿勢が日本でも多くの支持を得ている。

2020年12月に発売されたのは、「リップケアセット」(9300円)、「アイライナー」(3600円)、「マスカラ」(5100円)、「マスカラレザーケース」(6300円)、「ブロンザー」(3700円)、「ハイライター」(3700円)、「パウダーケース」(8400円)。3月上旬にはアイシャドウの販売も予定しており、さらにラインアップの拡充を図る。美容業界でも、ますます「サステナブル」がキーワードとなる中、創業者であるニコラスにメールインタビューを行った。

職人技へのこだわりはフランスも日本も共通している

——ここ数年で「サステナビリティ」を意識したコスメのブランドが増えていますが、「ラ ブーシュ ルージュ」ならではの強みを教えてください?

ニコラス・ジェルリエ(以下、ニコラ):フランスの美容は技術面で歴史的に高く評価されており、今日では世界中の美容業界の70%をけん引しています。「ラ ブーシュ ルージュ」は、「あなたと地球に良い美しさを創造すること」を理念としており、フランスの専門知識と職人技に根ざしていることに加えて、製造過程の最初から最後までプラスチックの使用を一切避けることを決定した最初のブランドです。

私達が考えるブルービューティ(海洋に安全な成分、安全で持続可能な原料、再利用・リサイク可能なパッケージを使用するグリーンビューティに続く新しいムーブメント)は、クリーンな原料を使用するだけではなく、詰め替え可能なパッケージを用いているのも特徴です。

——2019年11月に「ラ ブーシュ ルージュ」は日本に進出しましたが、業績的にはどうですか?

ニコラス:具体的な数字をここで提示することはできませんが、伊勢丹新宿店本館1階でのコーナー拡大の他、さらなる交渉も進めています。

——ニコラスさんが思う、日本の消費者の特徴は? フランスとの違いは感じますか?

ニコラス:フランスと日本は、相異点よりも共通点の方が多い。中でも重要な共通点の一つは、職人技に焦点を当てていること。フランスも日本も、遺産と技術に情熱を持っており、それを使って未来を創造することに注力している。日本の消費者は、製品の背後にある魂と愛に敏感だからこそ、職人技に夢中なのだと思う。日本のデザインは、高精度な文化に基づいているため、お客さまは「ラ ブーシュ ルージュ」のシンプルでミニマリストな美学を愛してくれているのだろう。私達はブランドとして、日本が持つ“改善し続ける伝統”に共感し、継続的に改良を行い進歩するという思想が大好きです。「ラ ブーシュ ルージュ」のコレクションでもフランス以外の製品は、日本製のブラシだけなんです。

——これまでは、日本ではリップのみの展開でしたが、今回新たにリップケアセット、アイライナー、マスカラ、ハイライター、ブロンザーが発売されました。マイクロプラスチック不使用以外で製品的な特徴はどういった点になりますか?

ニコラス:業界初となる100%リサイクル可能なガラス瓶マスカラ「ル・セラム・ノアール」は、美しくサステナブルであることに加えて、原材料は99%天然由来成分で構成されています。

詰め替え可能なレザーケース付きメタルコンパクトケース「パウダーケース」は、ブロンザーやハイライター、アイシャドウの3種を詰め替え可能で、プラスチックを使用せず、100%リサイクル可能な金属合金で構成されているため、炭素排出量はほとんどありません。

フェイスパウダーにはスキンケア成分を配合し、タルクやシリコンを含まない最大95%の天然由来成分で作られています。潤いを与えるヒアルロン酸、米粉、雲母で強化することができました。

リップペンシルは全て杉の木でできており、リサイクル可能な金属製のキャップが付いています。ヒマシ油、スクワレン、ビタミンE、ビサボロールで作られた88〜99%の天然原材料によって、唇を滑らかにし、簡単に塗ることができます。

近々グリーンキャビアセラム(美容液)配合のアイブロウライナーも発売する予定です。アイブロウジェル、アイブロウペンシル、アイブロウブラシを含む素晴らしいセットはブランドを象徴する製品になると思います。

——ケースにもこだわっていますが、そのこだわりのポイントを教えてください。

ニコラス:リップケースは詰め替え可能であり、全てのケースとリフィルを詰め替えて使用できます。フランスの革工場の名門「デュピュイ」で破棄される細かい革の端切れを使用して、伝統的な職人技を駆使して高級レザーケースを手作業で製造しています。これらにより、私たちは無駄をなくし、耐久性のある製品を制作することができます。

——新型コロナによって、人々の美容に対する考え方は変化したと思いますか? もし変化したなら、それはどのように変化したと思いますか?

ニコラス:新型コロナは地球がどれほど小さいか、そして私たち全員がどれほど相互に関連しているかをますます意識させてくれました。5000 km離れた場所で発生した何かが、直接あなたに影響を与える可能性だってあります。さらに私達が以前のように消費、生産、旅行することができないことも明らかにしました。

美容業界はプラスチック汚染に加担してきた一方、美容は世界中の人々の日常のルーティンの不可欠な要素となっている。しかし、世界がニューノーマルへとシフトしていくことが良い変化の力となり、そうしたプラスチック汚染の削減に役立つことができる。新型コロナは、相互接続性についての理解を深めてくれ、ある意味おいて世界は1つになった。私達はコミュニティとして相互に協力しなければならないし、自然を尊重しなければならないと気付かせてくれました。

——最後に今後の新製品について、決まっているものがあれば教えてください。

ニコラス:これについては年内に、新しいニュースを共有できると思うので、楽しみにしていてください。

Translation Elie Inoue

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author:

高山敦

大阪府出身。同志社大学文学部社会学科卒業。映像制作会社を経て、編集者となる。2013年にINFASパブリケーションズに入社。2020年8月から「TOKION」編集部に所属。

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