マーケター、現代アーティストのナカヤマン。が、世界巡回展の第3弾をパリで開催

ロサンゼルスと京都を拠点にするマエストロ・ストラテジスト、コンテンポラリーアーティストのナカヤマン。による巡回展「陸奥の 安達原の黒塚に 鬼籠もれりと 言うはまことか / (UN)KEEPALL」の第3弾が5月20日にパリのエドワード7世劇場で開催される。自身初の個展で2030年まで続く長期プロジェクトの一環だ。

同展では、過去作品の「シャネル」に提供をした『the POLYPTYQUE』(2012、2013年)や「グッチ」に提供した『From New York to Tokyo』(2015年)、「ルイ・ヴィトン」に提供した『the LAST PHOTOBOOTH』 (2017年)の要素を受け継ぎつつも、「おに」を主題として平安時代末期から続く慶派の大佛師・松本明慶の手掛けた2m超の彫像と、日本のマンガ/アニメ表現の父である手塚治虫の映像作品と共に、現在の社会システムを鋭く批評する作品を展示した。

開催地は2月に行われた京都・西本願寺内の国宝建築、飛雲閣での展示を皮切りに、3月には緊急事態宣言下の渋谷スクランブル交差点のビジョン全面をジャックし、京都での展示のデジタルドキュメンテーションを1時間にわたり上映した。第3弾となるパリでは、新たに制作された京都と渋谷の展示を集約した新作ドキュメンテーションが登場。京都で実施された平安時代から伝わる伝統技術と最先端のテクノロジーの融合は、日本の現代社会の象徴的な地である渋谷を経て、過去と現代を映し出すエドワード7世劇場で展示される。

同展は今後、ロサンゼルスを舞台に世界を巡回する予定だ。作品が作家不在のままリモートで各地に送られ、現地のコラボレーターによって二次表現的に再撮影される。タグも含めて繰り返し編集され、最終的に1つの作品へと昇華する試みだ。ツアー中に形を変えながら可視化と拡散と引用が繰り返されていく様は、その作品構造自体が現代社会を示しており、コロナ禍における表現の可能性を世界に提示する試みでもある。

ナカヤマン。のインスタグラムでは、カメラマンJunya Watanabe氏による各地の展示記録に加え、各業界のプロフェッショナル からの作品表がシェアされている。その中で同作について、漫画家の荒木飛呂彦は「『本物』を『フェイク』に境界線はあるのか? また『デジタル』と『アナログ』に区別はあるのか? 『現実』と『夢』にも区別はあるのか? 作品展示の舞台背景が、京都西本願寺、国宝・飛雲閣とあっては、伝統と革新やその瞬間の流れにも、『何も違い』は無いのか? と、考えさせられ、大変楽しく思いました。手塚治虫漫画の傑作短編。『安達が原』これ、僕は知ってますけれど、未読のお客様には解説が、必要なのでは。いや絶対」と評し、漫画家の安野モヨコは「とても良かったです。実物を見たいのはもちろんなのですがzoomで見ることで更に意味が変わってくる。角度によって見えるものと時間が変化するのは大変面白かったです。あと想像に反して鬼が愛らしかったです。ごはんいっぱい食べてそう。タイトルかっこいい!」とコメントを寄せている。

ナカヤマン。はロサンゼルスと京都を拠点にするマエストロ・ストラテジスト兼コンテンポラリーアーティストでscream louderの代表を務める。ファッションに特化したデジタル・エージェンシー「ドレスイング」の代表を2007年の設立から10年間務めた。ソーシャルメディアを活用したバイラルクリエイションやコンテンツマーケティングで注目を集めラグジュアリーブランドと協業を行ってきた。2020年に、映画監督の庵野秀明と共同代表の「八万・能」を設立し「シン・エヴァンゲリオン劇場版」に参画、アニメや映画、音楽、舞台など多岐に渡るジャンルで活動している。

■「陸奥の 安達原の黒塚に 鬼籠もれりと 言うはまことか/(UN)KEEPALL」第3弾
会期:5月20日
会場:パリ/エドワード7世劇場

■第4弾
会期:2021年の夏頃
会場:ロサンゼルス某所

■第5弾
会期:未定
会場:京都某所

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TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

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