ヘアメイク白石理絵が選ぶ、サステナブルでときめく6つのコスメ

ヘア&メイクアップアーティストの白石理絵

2020年はSDGsがより広く認識された年だったが、今年はさらにサステナブルな発想が発展していきそうだ。メイクアップ業界も例外ではなく、多くのファッション誌で活躍するヘア&メイクアップアーティストの白石理絵も影響を受けているという。

「温暖化などの気候変動は、もはや考えずとも意識せざるを得ない状況にあります。急にすべてを変えることはできないけれど、できることから始めたいと、コスメ選びを考えるようになりました」と白石。

化粧品業界が環境に与える影響を考慮して、大手化粧品会社が続々と新パッケージや処方の開発を行っている。また最近では環境だけでなく、人権は守られているか、アニマルウェルフェア(動物福祉)に配慮されているかなども、消費者が注目するポイントになった。

見てときめき、使って楽しいサステナブルコスメ

ヘアメイクアップアーティストの白石がサステナビリティを意識し始めたのは、この1年ほどのこと。

「ヴィーガン食を選択し始めた人がいたり、ファッションでもヴィーガンレザーの存在が当たり前になってきました。メディアもこの1年、サステナブルやSDGsに関する企画を打ち出すようになり、撮影現場にも変化があったと思います」。

さらに影響が大きかったのが、周囲の友人達だ。「フェミニズムの考えを発信するアクティビストだったり、地方に移住して必要なものだけで生活を営む人だったり、そういった人達と、今何を考え、どう行動しているかという精神性を語り合うことで、自分も『社会の一員として何ができるのか』と考えるきっかけになりました」。

その中で自然とサステナブルなコスメも選択するようになった。選ぶアイテムは使い心地や発色の良さといったコスメとしての機能性はもちろん、それと同じくらいブランドのコンセプトや原材料の調達方法、環境に配慮されたパッケージなども重要な要素だ。愛用品の中でもお気に入りの6つのサステナブルコスメを紹介してもらった。

愛用する6つのアイテム

「ラ ブーシュ ルージュ」の「リップ」と「ブロンザー」 

サステナブルな視点でコスメを選ぶきっかけになったという、「ラ ブーシュ ルージュ」のリップスティック。高級感あふれるレザーのケースは詰め替え式で、リユース可能な仕組みだ。「廃材となるはずのベジタブルタニングレザーを使用したケースや、リップスティックそのものの発色など質の高さに感激しました。また私は“リップフリーク”なので、その分多くのリップを食べて体内に成分を取り込むことが心配。なので、マイクロプラスチックフリーは嬉しいポイントでした」。

重厚なヴィーガンケースに入ったブロンザーは、一番明るいカラーをチョイス。「なめらかで伸びが良く、使いやすい。顔まわりにささっとつけて使用することで、引き締まった印象を作れます」。

「ゲラン」の「アベイユ ロイヤル フォーティファイング ローション」

「ゲラン アベイユ ロイヤル フォーティファイング ローション」(150mL)¥8,500

ミツバチは花粉を運び、果物や野菜、ナッツ、さらには綿花などの受粉を行う。しかしその数は年々減少しており、このままでは人々の生活に直結した影響をもたらすのも時間の問題だ。「ゲラン」はそういったミツバチの生み出すハチミツやローヤルゼリーを採取しているが、その採取方法には注意を払っている。

「『ゲラン』はこの『アベイユ ロイヤル』で使用しているハチミツ“ウェッサンハニー”を生み出す稀少な黒ミツバチの保護活動を行っています。さらにユネスコとのパートナーシップでは世界中の養蜂家の育成・支援をはじめとしたさまざまな活動を開始していて、今後10年間でミツバチを10億匹復活させることが目標だそうです。いただいた分、還元するのは素晴らしいなと思います。アイテムもしっとり、もっちりとした肌に導いてくれます」。

「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー」の「クレンジングウォーター」と「ハンドクリーム」

「サステナブルで環境に配慮された製品が当たり前、というスタンスのブランド。サステナブルなアイテムだけなら今までもあったが、クリエイティビティが融合され、手に取るワクワク感も感じられるアイテムが好き」という。「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー」のアイテムは重厚な瓶の容器に入り、タイムレスなデザインのラベルが見た目にも楽しい。

クレンジングウォーターは夜、スキンケアの始めにふきとり化粧水として使用する。「さっぱりしたテクスチャーだけど、しっとりとした肌に」。さらに植物由来のヒアルロン酸パウダーをクレンジングウォーターに混ぜて一晩置くと、テクスチャーが変わりジェル状ローションに変身。パウダーはオイルなどと混ぜて使用することでゴマージュやマスクとしても使用できる、アイデアアイテムだ。

また自宅で愛用するのが、シアバターとミツロウを配合したハンドクリーム。自分の体のいろいろな箇所を触る手に塗布するものは、人体に悪影響のない成分を選びたいのだという。「ヘアメイクという職業柄、手を洗うことや消毒液をつけることが多く、手が乾燥しがちになります。こっくりとしたテクスチャーのクリームは、朝や夜のケアにぴったり」。

「バウム」の「モイスチャライジング オイル

「バウム モイスチャライジング オイル」(60mL)¥8,000

オイル層とエッセンス層の2層を混ぜて使用するアイテム。パラベン、シリコーン、合成着色料フリーで、自然由来指数99.3%となっている。「これ1本でもみずみずしい肌に導いてくれます。使用感に加え、インテリアになりそうなパッケージと、循環型のものづくりが一貫していて素晴らしいと感じるブランド」

「バウム」は環境配慮を徹底しており、売り上げの一部を森林の保全活動に還元するほか、パッケージの木枠で用いるオーク(なら)の木の苗木を店頭で育てて植樹するなど、保全活動に力を入れる。さらには一部プラスチック容器にはバイオPET(植物由来のPETを配合)を、ガラス容器にはリサイクルガラスを採用した。さらに「カリモク家具」とのコラボにより、家具製造の過程で出る端材を再利用。「他業種を入れてアップサイクルするという取り組みも珍しく、感銘を受けました」。

白石理絵
ヘア&メイクアップアーティスト。建築のデザインを学んだ後、美容業界に興味を持ち2011年から現キャリアをスタート。国内外の雑誌やキャンペーン、広告のヘアメイクを手掛ける。
Instagram:@rieshiraishi1220

Photography Kazuo Yoshida

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author:

臼井杏奈

フリーランスライター・青山学院大卒後、産経新聞社に入社。その後INFASパブリケーションズに入社し、「WWD BEAUTY」で記者職。現在は美容業界記者として外資ブランドおよびビューティテック、スタートアップ、アジア市場などの取材やインタビューを行う。

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