フラワークリエイター集団AMKKが『エヴァンゲリオン』をもとに花束を制作 花と“汎用人型決戦兵器”の融合が見せる、新たな世界

Movie Direction Shinpo Kimura ©︎カラー

フラワークリエイター集団AMKKと『エヴァンゲリオン』シリーズとのコラボレーションアイテムが3月8日に「TOKiON the STORE」で発売した。今回はAMKKを主宰する東信に、作品のコンセプトや色使いなどの制作背景について話を聞いた。

アートワークのメインビジュアルは、AMKKがエヴァンゲリオンからインスピレーションを得て制作した花束だ。初号機、零号機、2号機、8号機の色彩に合わせて作られた4種類の花束の中にエヴァンゲリオンが溶け込んでいる。

AMKKは花の枯れたあとの美しさも追求するなど、死生観をテーマに花の命と向き合い続けてきたが、力強いエヴァンゲリオンとの対照的な組み合わせで両方の新しい魅力を引き出した。これらのビジュアルをTシャツやロンT、パーカー、PVCトートバッグ、ポーチ、コインケース、「スブ」の冬用サンダルに落とし込んだ。トップスの袖には各エヴァンゲリオンの搭乗者の名ゼリフをプリントしている。

このインパクトあるメインビジュアルを、AMKKはどのように制作していったのだろうか?「花と対峙してその時の直感で色を組み合わせていくことが多いが、コンセプトがある作品作りの際は色の取り合わせには十分気を使う。『エヴァンゲリオン』は誰もが知っている初号機をはじめ、色使いでそれと認識できるような特徴的なカラーリングが人々の間に浸透している。『エヴァンゲリオン』の存在感を際立たせながら、花になじむような色合いを意識した」(東)。

AMKKは色の濃い花同士を組み合わせたり、花をあえて過酷な環境に置いたりして、その新しい美しさを提示している。「花は野に咲く状態が一番美しいから、わざわざ根っこを引っこ抜いて人の手を加えるのであれば、自然界ではあり得ない組み合わせ、例えば寒冷地の花と熱帯の花が隣り合わせに存在するような、誰も目にしたことない圧倒的な世界観を常に生み出さなくては意味がないと考えている。そういった意味で存在感が強く濃い色彩の花々を掛け合わせて色彩をぶつけ合うことも多く、常に花からインスピレーションを受けて創作している」(東)。

くわえて、エヴァンゲリオンの武器を植物に持ち替えたビジュアルも印象的だ。「エヴァンゲリオンはおよそ自然のものとは対極にある“汎用人型決戦兵器”であり、人工物の塊。あえて巨大な花束を抱えて格闘しているような姿にすることで、人工物と自然物という、相反するもの同士が融合してどこか温もりを感じさせるように制作した」(東)。これらのビジュアルはTシャツと「アルファ インダストリー」のMA-1に落とし込んでいる。

「TOKiON the STORE」では、コラボレーションの世界観を表現するインスタレーションを開催。AMKKがエヴァンゲリオンの巨大フィギュアにあわせて大量の花を組み合わせたフラワーキューブを展示している。その制作について東は、「荒廃した世界で繰り広げられる戦いを描いた『エヴァンゲリオン』だが、今回のインスタレーションではあえてその戦場の生々しさとは真逆の、生き物の息吹を感じる世界を作ろうと考えた。花畑に巨大フィギュアが佇む景色の中で、美しさだけではない、花本来の持つ強さや朽ちゆくはかなさなど、エヴァンゲリオンの持つメカニックな部分を際立たせつつ、同時に今にも動き出すような生命力溢れる世界を作り出し、命を吹き込めたらいい」と語った。展示は3月28日までを予定している。

東信
1976年生まれ。ミュージシャンを目指し上京したが、花屋店でのアルバイトをきっかけに花の業界に足を踏み入れた。2002年に、高校の同級生で現在は作品撮影を担当する椎木俊介とともに、オーダーメイドの花屋店「ジャルダン・デ・フルール」を東京・銀座にオープン(現在は南青山に移転)。2005年から花屋店と並行して植物の造形表現を始め、2009年にAMKK(東信、花樹研究所)を立ち上げる。以降はニューヨーク、ミラノ、パリ、上海、ブラジルなど世界各国の美術館やアートギャラリー、パブリックスペースなどで作品発表を行っている。
https://azumamakoto.com

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TOKION EDITORIAL TEAM

2020年7月東京都生まれ。“日本のカッティングエッジなカルチャーを世界へ発信する”をテーマに音楽やアート、写真、ファッション、ビューティ、フードなどあらゆるジャンルのカルチャーに加え、社会性を持ったスタンスで読者とのコミュニケーションを拡張する。そして、デジタルメディア「TOKION」、雑誌、E-STOREで、カルチャーの中心地である東京から世界へ向けてメッセージを発信する。

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