パリ発ヴィーガンネイル「マニキュリスト」が日本上陸 体と環境に優しいクリーン処方へのこだわり

昨今、多くの業界が環境への悪影響を最小限に抑える生産開発に取り組んでいる。美容業界も然りで、パリ生まれの「マニキュリスト」は2015年に環境へ配慮したクリーンなネイルポリッシュブランドとしてリニューアルした。有害成分不使用、ヴィーガン処方、クルエルティーフリー、フランス製にこだわり、体と環境の両方に優しいマニキュア関連製品を展開。消費者の地球環境への関心の高まりによって、フランス国内の2015〜19年の成長率は93%と高い数字を記録した。機能面においても、色鮮やかなカラーを長持ちさせる業界初のセルフジェルネイルポリッシュ「グリーンフラッシュ」を開発するなど、世界中の女性の美への要求をかなえ、心と健康に喜びを与えるブランドとして日々勤しんでいる。

ブランドのリニューアル後は、日本でも度々ポップアップを開催し、2021年春に公式オンラインサイトのローンチとネイルサロンのオープンにより本格的な上陸を果たした。2015年から同ブランドを主宰するガエル・ルブラ・ペルソナージュは、ファッション業界で経験を積んだパリジェンヌ。彼女に「マニュキュリスト」の誕生からクリーンビューティへのこだわりについて聞いた。

地球環境への配慮と爪の健康の両立

――「マニキュリスト」はどのようにして生まれたのですか?

ガエル・ルブラ・ペルソナージュ(以下、ガエル):母と姉妹とともに家業として1996年にスタートしました。2015年に私が完全に引き継ぎ、環境へ配慮したクリーンビューティブランドとして進化しました。世界中の女性のために安全な製品を提供し、同時に地球に敬意を払うことが大切にしている価値観であり、「マニキュリスト」の哲学となっています。

私はファッションスクール、アンスティチュ・フランセ モードで修士号を取得し、「ルイ ヴィトン」「プラダ」「サン ローラン」などのラグジュアリーブランドでヴィジュアル・マーチャンダイザーとしてキャリアを積みました。さまざまな経験を経て、昔からネイルのケアをすることは日常の一部であり、「マニキュリスト」を通して新しい冒険をスタートさせるのは私にとって自然なことでした。

――具体的に、「マニキュリスト」の製品はどのような点がクリーンなのでしょうか?

ガエル:従来のネイルポリッシュには人体と環境に有害な石油化学成分が含まれています。「マニュキュリスト」は9つの有害成分を取り除き、代替としてじゃがいもやキャッサバ、トウモロコシなど最大84%の植物由来原料を使用しています。子ども向けの「プティ マニキュリスト」シリーズも毒性のある成分は一切使用しておらず、石鹸水で簡単に落とすことができます。利用する人にとって、これらの安全な成分は再生可能な資源から作られているため、環境にも優しい。また処方からリサイクル可能なパッケージに至るまで、フランスで行うことにこだわり、地球環境にとって影響が少なく、爪にとっても健康を意識して開発されています。

――開発において最大の課題は何でしたか?

ガエル:自宅でセルフジェルネイルを可能にした「グリーンフラッシュ」シリーズは、無害成分で構成された業界初のクリーンジェルネイルポリッシュです。爪と環境に優しい革新的な処方の開発には多くの時間と実験が必要でした。

――バリエーション豊かなカラーも「マニュキュリスト」の特徴ですが、色の開発はどのように行なっていますか?

ガエル:私を取り巻く環境と、ファッション・ウィークやパントンのカラートレンドに触発されて色の開発を手掛けています。自然の中で特に花からも多くのインスピレーションを得ています。

美意識の高い日本女性に、クリーンでプロのような仕上がりのネイル製品を届けたい

――一般的に、フランス女性にとってネイルケアはどのような意味合いを持つのでしょうか?

ガエル:フランス女性のネイルへの興味は、非常に早い年齢から始まると言えるかもしれませんね。手を洗うことで取り除くことができる子ども向けの「プティ マニキュリスト」を提供したのも、そういったネイルに対するフランス女性の美意識から来ています。クラシック、トレンディ、ネイルアートといった種類にかかわらず、ネイルの美しさにもたらされるディテールの美は世代を超え、すべての年齢の女性が価値を置いています。

――日本の美意識については、ガエルさんにどのように映っていますか?

ガエル:日本は、細部に宿る美を非常に重要視しているように思います。マニキュア・ペディキュアにも完璧さを求めているのではないでしょうか。そのようにネイルや美に対する高い意識を持つ日本の女性に、私達のクリーン処方でプロのような仕上がりになる製品をお届けしたいと思うようになりました。日本を訪れた時に、「マニキュリスト」を日本で展開するパートナーと出会えたことはとてもラッキーだと感じています。

――利用者からはどのようなフィードバックを受け取っていますか?

ガエル:特にフランスには素晴らしいコミュニティを作ることができ、クリーン処方でセルフネイルケアができることに好意的なフィードバックを多く受け取っています。昨今、消費者は地球環境と自分自身のケアに細心の注意を払い、要望を十分に満たす製品を厳選する傾向にあります。「グリーンフラッシュ」が多くの利用者のニーズを満たしているのは、植物由来原料を使用しながら、ネイルが長持ちし、簡単に除去することができ、自宅で簡単に爪先を美しく彩ることができるからでしょう。

――今後、日本でどのような商品を展開していくのか教えてください。

ガエル:私の野心は、新しいカラーを提供することだけでなく、手と爪先へのケアにもっと関心を持ってもらうことです。完璧なマニキュアには、手入れの行き届いた手が欠かせませんからね。楽しみにしていてください!

ガエル・ルブラ・ペルソナージュ
パリ生まれ・パリ育ちのパリジェンヌ。フランスのファッションスクール、アンスティチュ・フランセ モードで修士号を取得し、「ルイ・ヴィトン」「プラダ」「サンローラン」などのラグジュアリーファッションブランドでヴィジュアル・マーチャンダイザーとして従事。それまで家業として経営してきた「マニキュリスト」の責任者を2015年に引き継ぎ、クリーンビューティなネイルブランドへと進化させた。

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author:

井上エリ

1989年大阪府出身、パリ在住ジャーナリスト。12歳の時に母親と行ったヨーロッパ旅行で海外生活に憧れを抱き、武庫川女子大学卒業後に渡米。ニューヨークでファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。ファッションに携わるほどにヨーロッパの服飾文化や歴史に強く惹かれ、2016年から拠点をパリに移す。現在は各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビューの他、ライフスタイルやカルチャー、政治に関する執筆を手掛ける。

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